渦電流探知試験装置及び渦電流探知試験方法
(書誌+要約+請求の範囲)
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平6−34607
(43)【公開日】平成6年(1994)2月10日
(54)【発明の名称】渦電流探知試験装置及び渦電流探知試験方法
(51)【国際特許分類第5版】
G01N 27/90
【審査請求】有
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願平4−189163
(22)【出願日】平成4年(1992)7月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号
(71)【出願人】
【識別番号】000235532
【氏名又は名称】非破壊検査株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区西天満2丁目10番2号
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 富徳
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英夫
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】藪下 秀記
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北久宝寺町2丁目3番6号
(72)【発明者】
【氏名】若田 史雄
【住所又は居所】大阪府堺市浜寺石津町西3丁目3番1号
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修
(57)【要約】
【目的】 伝熱管の拡管連結部等のような応力腐食ワレが発生する可能性のある部位に対しても、簡単な装置構成で容易に検査をおこなうことが可能な渦電流探知試験装置及び渦電流探知試験方法を得る。
【構成】 検査対象の管材20の内径未満でほぼ同一の外径を備えたプローブ本体5に、プローブ本体5の本体軸芯方向に沿ったコイル軸芯を備えた一対の探知コイル6を、プローブ本体5の軸方向で前記コイル軸芯を揃えて配設して、管材20内を移動自在に形成し、管材20内に誘起される渦電流の変化を検出して前記管材20の欠陥を検出する渦電流探知試験装置を、一対の探知コイル6の径が検査対象の管材20の内径の1/2以下で、1/4以上に設定されているものとし、拡管連結部位にこの装置を使用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 検査対象の管材(20)の内径未満でほぼ同一の外径を備えたプローブ本体(5)に、前記プローブ本体(5)の本体軸芯方向に沿ったコイル軸芯を備えた一対の探知コイル(6)を、前記プローブ本体(5)の軸方向で前記コイル軸芯を揃えて配設して、前記管材(20)内を移動自在に形成し、前記管材(20)内に誘起される渦電流の変化を検出して前記管材(20)の欠陥を検出する渦電流探知試験装置であって、前記一対の探知コイル(6)の径が前記検査対象の管材(20)の内径の1/2以下で、1/4以上に設定されている渦電流探知試験装置。
【請求項2】 熱交換器胴内に複数の伝熱管を配設したシェルアンドチューブ型の熱交換器に対する渦電流探知試験方法であって、前記伝熱管と管板との拡管連結部に於ける伝熱管の探知試験を、請求項1記載の渦電流探知試験装置によっておこなう渦電流探知試験方法。
詳細な説明
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、渦電流探知試験装置及び渦電流探知試験方法に関するものであり、こういった装置を使用して、リフトオフが問題となる拡管構成が採用されるシェルアンドチューブ型の熱交換器に於ける配管としての伝熱管と管板との連結部の伝熱管探知試験を行う場合等に利用される技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、図1に示すシェルアンドチューブ型の熱交換器に於ける伝熱管と管板との拡管連結部の探知試験には、その試験対象部位に限界があった。即ち、渦流探知試験(ET)が適応されていた部位は伝熱管が管板から延出された位置(図1でAでしめす)のみであり、さらに、伝熱管の管端から特定距離(例えば20mm、図1にBで示す)内の部位に対しては、浸透探知試験(PT)をおこなっていた。即ち、事実上、管板と伝熱管の拡管連結部位に対しては、磁気的雑音等の要因により渦電流探知試験は採用されていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような状況から、伝熱管と管板との連結部については、この部分に割れが発生していた場合、リークテストや前述の浸透検査をおこなう必要があった。ここで、浸透検査をおこなおうとすると、高度な前処理が要求されるとともに、割れの幅・深さが微細な場合は検出が困難で、しかも管端部の一部分(入口から20mm程度)しか確認できないという大きな問題があった。一方、リークテストを行う場合は、その操作が非常に煩雑となる。また、気化器のようにこの部分に応力腐食ワレが発生するようなものを対象とする場合は、リークテストや浸透検査では、ワレの幅・深さが微細なため検出が難しい。従って、本発明の目的は、伝熱管の拡管部等のような応力腐食ワレが発生する可能性のある部位に対しても、簡単な装置構成で容易で確実な検査をおこなうことが可能な渦電流探知試験装置及び渦電流探知試験方法を得ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するための本発明による渦電流探知試験装置の特徴構成は、これを、検査対象の管材の内径未満でほぼ同一の外径を備えたプローブ本体に、プローブ本体の本体軸芯方向に沿ったコイル軸芯を備えた一対の探知コイルを、プローブ本体の軸方向でコイル軸芯を揃えて配設して、管材内を移動自在に形成し、管材内に誘起される渦電流の変化を検出して管材の欠陥を検出する渦電流探知試験装置であって、一対の探知コイルの径が前記検査対象の管材の内径の1/2以下で、1/4以上に設定されていることにあり、さらに本発明の渦電流探知試験の特徴手段は、伝熱管と管板との拡管連結部に於ける伝熱管の探知試験を、前述の渦電流探知試験装置によっておこなうことにあり、その作用・効果は以下のとおりである。
【0005】
【作用】つまりこの渦電流探知試験装置においては、プローブ本体の外径に対してその径が半分以下で1/4以上の探知コイルが備えられる。ここで、拡管連結部における従来型のプローブを採用した渦電流探知試験の問題点について説明すると、従来型のプローブにおいては、探知コイルの径がプローブの径に対してほぼ同一とされていたため、拡管部分においては、プローブと配管の軸芯が合っているため、プローブと伝熱管のすきま(リフトオフ)がほぼ一定となり、プローブの外周部のリフトオフのノイズを全周で全て拾ってしまい、欠陥信号に対するこの信号のレベルが高くなり、検出ができない。一方、探知コイルの径をあまり小さくしすぎると、欠陥とコイルの距離が一定であるため、磁界が欠陥にはとどかなくなり特定の大きさを有する欠陥に対する信号が小さくなっていく。結果、この場合もまた検出ができない。従って、本願の場合は、プローブ本体の外径に対する探知コイルの径を適切に選択することにより検知信号レベルが十分に高いとともに、リフトオフのノイズ信号が相対的に低いコイル径を見出し、装置を構成することにより、所定部位の欠陥の検知が可能となった。
【0006】
【発明の効果】従って、伝熱管の拡管連結部等のような応力腐食ワレが発生する可能性のある部位に対しても、簡単な装置構成で容易にかつ確実に検査をおこなうことが可能な渦電流探知試験装置及び渦電流探知試験方法を得ることができた。さらに具体的に説明すると、シェルアンドチューブ型の熱交換器の伝熱管端部において、検知コイルの軸方向の幅に依存する長さである管板部のシール溶接部及び管端から3mm程度の部位を除き、管板部のほぼ全域に渡って割れの検出が可能となった。従って、管端部の必要と思われる箇所(グループ、拡管部、拡管境界部)のほぼ全域が探知でき、信頼性が向上した。さらに、浸透探知試験及びAPFの取り除き作業等の前処理作業を短縮することができるとともに、検出される欠陥の定量的な評価が容易となった。
【0007】
【実施例】本願の実施例を図面に基づいて説明する。図1には、検査対象の管板近傍部1における伝熱管拡管部2の検査をおこなっている状況が示されている。
【0008】図1に示すように、装置3のプローブ4はプローブ本体5とこのプローブ本体5に備えられる探知コイル6から構成されている。プローブ本体5は、管材としての検査対象の伝熱管の通常部7の内径未満で、ほぼ同一の外径を備えた円柱状部材で構成されており、このプローブ本体5の軸方向の長さは拡管部2の長さより長く構成されている。次に探知コイル6について説明すると、このコイル6はプローブ本体5の本体軸芯方向に沿ったコイル軸芯を備え、プローブ本体5の軸方向でコイル軸芯を揃えて配設して構成されている。さらに、一対の探知コイル6の径が前記検査対象の管材の内径の1/2以下で、1/4以上に設定されている。
【0009】実際の検査条件データについて以下に箇条書きする。
伝熱管20通常部内径 15mm軸芯方向の拡管部長さ 53〜191mm拡管部内径 15.2〜15.3mm拡管量 0.2〜0.3mmプローブ本体5本体外径 14.0mm軸方向長さ 250mm探知コイル6コイル巻径 5.5mmコイル巻数 50Tコイル相対離間距離 2.0mm【0010】さて、この渦電流探知試験装置のプローブ4を使用